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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
感染症
温水洗浄便座と細菌性膣症(炎)


荻野 満春1), 箕浦 茂樹1), 飯野 孝一2)
国立国際医療センター・戸山病院産婦人科1), 医療法人・飯野病院産婦人科2)


【緒言】近年温水洗浄便座が急速に普及してきている一方で,細菌性膣症(炎)(BV)の反復性や治療抵抗性を示す症例が増加してきているように思われる.子宮頚管膣分泌物(CVS)の培養で腸内細菌や表在性細菌等が頻繁に検出されることも多く,このことと温水洗浄便座使用との関連性が伺われる.こうした蓋然性を確証するため,本研究では温水洗浄便座の習慣的使用者(A群)と未使用者(B群)両群でCVS中細菌叢について比較検討した.【対象・方法】2007年9月〜2008年12月の間に「帯下の増加」を主訴として両施設を受診した非妊娠女性(19〜40歳)268例が対象である.温水洗浄便座使用について聴取後,滅菌綿棒でCVSを採取し標準培養に供した.倫理面の配慮:平成16年厚生労働省告示第459号に準拠.【結果】A群154例(57.46%),B群114例(42.54%)であった.正常細菌叢であるデーデルライン桿菌(Lact)陽性はA群88例(57.14%),B群104例(91.23%);Lact陰性はA群66例(42.86%),B群10例(8.77%).Lact陽性例の内LactのみであったのはA群4/88(4.54%),B群68/104(65.38%).腸内細菌を認めた50例(18.66%)中46例(92%)はA群,B群では僅か4例(8%)であった.Lact以外の細菌及び真菌の延べ検出数もA群212に対しB群では僅か52であった.【考察】温水洗浄便座の習慣的使用がCVS中細菌叢の悪化を惹き起こす事が明らかとなった.本結果はまた妊産婦での高率なBV発現との関連性をも示唆しているものと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 313-313, 2009


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