|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍1 感染との鑑別を要したG-CSF産生卵巣癌の一例
小野 亜希子, 三橋 暁, 松岡 歩, 宮西 香里, 山地 沙知, 植原 貴史, 平敷 好一郎, 加藤 一喜, 碓井 宏和, 楯 真一, 生水 真紀夫
千葉大学産婦人科
【緒言】悪性腫瘍では,様々な原因で白血球異常増加を来すことがあり,その一因として腫瘍細胞による顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)産生が知られている.今回,白血球増加・CRP上昇・発熱を認め,感染との鑑別を要したG-CSF産生卵巣癌の一例を経験したので文献的考察を含め報告する.【症例】患者は66歳の女性で,本年3月発熱・下腹部痛を主訴に近医受診.骨盤内に10cm大の腫瘤があり,CA125 877U/mlと上昇を認め,卵巣癌疑いで当院紹介となった.入院時に白血球数20500/mm3・CRP 12.6mg/dl・39度の発熱を認め,PS3と全身状態不良であり,感染併発を考え抗生剤投与を開始した.白血球はその後約2週間の経過で52600/mm3まで上昇したが,分画は正常で,全身状態からも感染を示唆する所見は認めなかった.G-CSF産生腫瘍を疑い血中G-CSFを測定したところ,470pg/dl(基準値39.0以下)と高値であった.発熱はneoplastic feverと判断し抗生剤を中止,NSAID内服により解熱・全身状態改善を認めた.腫瘍は子宮と一塊でS状結腸・骨盤壁浸潤も認め,摘出困難と判断し,パクリタキセル+カルボプラチン(TC)による術前化学療法を開始した.TC療法は奏功し,2クール終了時点で腫瘍の縮小(PR)・白血球数低下・G-CSFの低下(87.2pg/dl)を認めた.【結語】悪性腫瘍で白血球増加を認めた場合はG-CSF産生腫瘍を鑑別にあげる必要がある.さらに,G-CSF産生腫瘍で発熱・CRP上昇を認めた場合は,感染との鑑別も重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
316-316, 2009
|