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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍1 扁平上皮癌に悪性転化した卵巣成熟嚢胞性奇形腫の2例
野路 千智1), 前田 大伸1), 菅野 秀俊1), 三塚 加奈子1), 飯田 哲士1), 貴家 剛1), 内田 能安1), 三上 幹男2)
東海大学八王子病院産婦人科1), 東海大学医学部専門診療学系産婦人科2)
<諸言>成熟嚢胞性奇形腫は全卵巣腫瘍の15〜25%であり,その中で悪性転化を伴うものは約2%といわれる.悪性転化症例の組織型は80%以上が扁平上皮癌である.今回,我々は扁平上皮癌への悪性転化を認めた卵巣成熟嚢胞性奇形腫の2例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.<症例1>66歳,約100mm大の左卵巣嚢腫を指摘され当院紹介受診.SCC上昇あり,扁平上皮癌疑いにて単純子宮全摘・両付属器切除・骨盤内リンパ節郭清施行.肉眼的には卵巣成熟嚢胞性奇形腫であったが,扁平上皮癌への悪性転化がみられた<症例2>47歳,下腹部腫瘤感にて受診.MRIにて約110mm大の左卵巣成熟嚢胞性奇形腫疑われ単純子宮全摘・左付属器切除施行.組織学的には扁平上皮癌への悪性転化がみられる成熟嚢胞性奇形腫が認められた.約2か月後,右卵巣摘出・骨盤内リンパ節郭清術施行となる<考察>成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化の特徴として,1)50歳以上に多い・2)腫瘍径が大きい(100mm以上)・3)片側例が多い・4)SCCが高値(2.5ng/ml以上)などがあげられている.成熟嚢胞性奇形腫と診断されてもこれらの特徴がある症例では悪性転化を念頭に置くべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
316-316, 2009
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