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【症例報告】
術前に脂肪平滑筋腫が強く疑われた子宮体部腫瘍の1例


印出 佑介, 米山 剛一, 間瀬 有里, 中川 道子, 西 弥生, 阿部 崇, 黒瀬 圭輔, 土居 大祐, 竹下 俊行
日本医科大学付属病院女性診療科・産科


 子宮筋腫は高頻度に認められる婦人科良性腫瘍で,病理組織学的に子宮平滑筋腫のほか多様な亜型が存在する.今回,特徴的な画像所見により術前に脂肪平滑筋腫が強く疑われた子宮体部腫瘍の1例を経験したので報告する.  症例は64歳,2回経妊2回経産.下腹部痛と下痢を主訴に内科を受診し,経腹超音波断層法で骨盤内腫瘤を認めたため精査目的に当院紹介.経腟超音波断層法で子宮体部に径80×40 mmの境界明瞭で高輝度の充実性腫瘤を認めた.腫瘍はドプラー法で内部血流に乏しく後方エコー減衰を伴っていた.骨盤部MRI T1強調脂肪抑制画像で同部位の信号抑制を呈し,ガドリニウム造影画像で造影効果を認めなかった.腫瘍壁は子宮筋層と等信号で,腫瘍被膜のbeak signおよび子宮動脈枝と考えられるflow void所見を認め,子宮由来の腫瘍と判断した.腫瘍マーカーおよび子宮細胞診は陰性であった.以上の所見より子宮体部原発の脂肪平滑筋腫を強く疑った.約1年間の経過観察中に腫瘍増大傾向を認めなかった.Informed consentの上で,悪性腫瘍否定の目的で腹式単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.病理組織診断で脂肪平滑筋腫の結果を得た.  自験例は特徴的な画像所見から術前に脂肪平滑筋腫が強く疑われた.診療には高分化型脂肪肉腫や卵巣成熟嚢胞奇形腫悪性転化など悪性腫瘍の鑑別と除外が肝要である.

Key words:lipoleiomyoma, uterine neoplasms, uterus

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(4) 347-352, 2009


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