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【症例報告】
卵巣腫瘍との鑑別が困難であった卵巣原発悪性リンパ腫の1例
岸見 有紗1), 森定 徹2), 松岡 美杉4), 落合 大吾2), 西村 修2), 宮越 敬5), 矢久保 和美2), 福井谷 達郎2), 桑原 三郎3), 渡辺 卓郎3)
1)静岡赤十字病院産婦人科, 2)さいたま市立病院産婦人科周産期母子医療センター, 3)同 血液内科, 4)藤田保健衛生大学医学部産婦人科学教室, 5)慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
卵巣に原発する悪性リンパ腫の頻度は極めて稀とされている.今回我々は,卵巣悪性腫瘍を疑い開腹手術を行ったところ,卵巣原発と考えられる悪性リンパ腫:非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma;NHL)であった1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は65歳女性,2経妊2経産.近医より子宮筋腫の疑いで当院に紹介された.骨盤部MRIにて子宮上方に径13 cmの境界明瞭,内部比較的均一な充実性腫瘍を認めた.CT検査上,左傍大動脈リンパ節腫脹を認めたが骨盤内リンパ節腫大は認められなかった.諸検査より卵巣悪性腫瘍もしくは子宮腫瘍を疑い,診断および治療目的に開腹手術を施行した.開腹時左卵巣由来の新生児頭大の腫瘍を認め,腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.術後病理診断はnon-Hodgkin’s lymphoma,diffuse large B cell lymphomaであり,Ann Arbor臨床病期分類(clinical staging;CS)IIAEXと診断された.術後,血液内科に転科し,化学療法としてR-CHOP(Rituximab,Cyclophosphamide,Pirarubicin,Vincristine,Prednisone)療法を施行中である.
Key words:Primary lymphoma of the ovary, extranodal lymphoma
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(4)
361-365, 2009
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