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 【原著】
 当科における助産所からの母体搬送症例に関する検討
 
 水主川 純, 中西 美紗緒, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
 国立国際医療センター戸山病院産婦人科
 
 
 助産所は,低リスクの妊産婦の妊婦健診と正常分娩,褥婦や新生児の保健指導を取り扱う施設であり,わが国では,約1.0%の分娩が助産所で行われている.助産所における分娩の安全確保には,開業助産師と産婦人科医師の密接な連携が必須である.当科は助産所業務ガイドライン(以下,ガイドライン)を遵守した搬送を目指している.2008年1月から12月までの期間に助産所から当科へ母体搬送された32例を対象とし,搬送状況や搬送後の周産期管理について検討した.初産婦が26例(81.2%)であり,母体平均年齢は32.8歳であった.10例が高年初産婦であった.最多の搬送依頼理由は前期破水であった.羊水過少やRh血液型不適合妊娠などの症例は,ガイドラインを遵守すれば妊娠中から産婦人科医が管理すべきであったが,分娩時に救急搬送された.搬送後に自然分娩した者は24例であった.鉗子分娩,帝王切開分娩は各4例であり,そのうち7例が高年初産婦であった.陣痛促進剤,会陰切開,急速遂娩のいずれの医療介入なく分娩した者は7例であった.出生児の平均出生体重は2,902 gであり,4例の早産児を認めた.周産期死亡はなく,10例が新生児仮死,胎便吸引症候群などの理由で小児科入院を要した.助産所における分娩の安全性の観点から,助産所におけるガイドラインの遵守,的確なリスク評価や適切な転院・搬送が重要であると考えられた.
 
 Key words:Maternal transport, Perinatal outcome, Maternity home
 
 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1)
		3-8, 2010
 
 
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