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【原著】
胎児心拍陣痛図による分娩時リアルタイムマネージメントの院内助産への応用
松本 直樹, 五味 陽亮, 新坂 真実子, 江良 澄子, 長田 まり絵, 鈴木 永純, 松本 智恵子, 高橋 幸男, 山下 恵一
深谷赤十字病院産婦人科
当院では院内助産を取り入れており,胎児心拍陣痛図(CTG)による胎児評価を最初にするのは助産師である.今までその判断は個々の助産師の知識・経験にゆだねられていた.最近のCTG判読・胎児機能不全の取り扱いの指針に沿った形で助産師用のCTG判読・対処基準を策定し,それを助産師リアルタイムマネージメント(助産師RM)と名付けた.その導入過程と調査結果についてまとめる.対象は導入前2か月間(前期),導入後2か月間(後期)に経腟分娩を試みた全分娩とし,分娩経過中の助産師から医師への報告の適否および分娩時の医師立ち会い状況を調査した.前期では助産師は従来どおりに判断し,後期では助産師RMに基づいて判断し,分娩管理が行われた.対象症例のCTGを著者が再判読,異常所見の有無を再評価し,助産師RMを基準とした胎児警戒レベルと実際の分娩時における助産師の判断との違いについて調査した.またCTGに関して助産師にアンケートを実施した.分娩中の医師報告ありが前期47%に対し後期53%,医師立会いありが前期42%に対し後期48%とやや増加.報告「適」が前期67%に対し後期72%とやや増加し,また医師報告が遅れたケースであっても最終的に報告が行われた例は有意に増加した.助産師RMは産科スタッフにとって分かりやすくかつ助産師のコンプライアンスも良好であり,助産師RMは実用可能性のある方法と考えられた.
Key words:parturition, cardiotocogram, nonreassuring fetal status, neonatal asphyxia
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1)
17-25, 2010
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