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【原著】
頸管妊娠に対するアルコール固定療法の検討


柿沼 敏行, 長田 尚夫, 永石 匡司, 山本 樹生, 宮内 修2), 奥野 隆2), 勝股 克成2), 加藤 修2), 貝嶋 弘恒3), 寺元 章吉4), 辰巳 賢一5), 鈴木 純一6)
日本大学医学部産婦人科(駿河台日本大学病院), 加藤レデイースクリニック2), みなとみらい夢クリニック3), 新橋夢クリニック4), 梅ヶ丘産婦人科5), 東京都立広尾病院産婦人科6)


 頸管妊娠は稀な異所性妊娠で,近年の生殖補助医療の普及から増加傾向を示しているが,検査薬の開発や検査機器の精度向上から,早期診断が可能となり,メソトレキセート(MTX)等,妊孕能温存を目的とした保存的治療の成功症例が散見されるようになってきた.頸管妊娠におけるMTX局注療法に代わる治療法として,アルコール固定療法の有効性,安全性について検討を行った.2006年4月から2009年3月までに頸管妊娠と診断され,アルコール固定療法を施行した10症例について検討した.アルコール固定療法は,経腟超音波ガイド下に,23ゲージPTC針を用いて,頸管妊娠部位に無水エタノールの局所注入を行った.効果判定は,アルコール固定前,治療後の血中β-hCG値の推移をもって判定した.対象症例の平均年齢は,36.5歳で,8例が体外受精による妊娠であった.治療開始時期は平均5週6日で,2例に胎児心拍を認めた.全ての症例においてアルコール固定療法により治癒し,アルコール局注後1か月後に月経は再開して経過は良好であった.また,アルコール固定療法による副作用は認められなかった.頸管妊娠に対するアルコール固定療法は,新しい治療法として安全かつ有効な治療法の一つになりうると考えられた.

Key words:cervical pregnancy, ultrasound-guided local injections of absolute ethanol, Fertility preservation, fertility, IVF-ET

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1) 27-33, 2010


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