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【症例報告】
帝王切開の手術瘢痕部に発生した腹壁子宮内膜症の一例


中西 美紗緒, 池田 悠至, 岡 朱美, 水主川 純, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療センター戸山病院


 帝王切開の手術瘢痕部に発生した皮膚子宮内膜症の一例を経験した.症例は32歳,3経妊2経産,28歳時に帝王切開術の既往あり.30歳頃より帝王切開術瘢痕部に腫瘤を触知した.31歳頃,同部位に疼痛が出現し,鎮痛薬を内服したが症状は改善しなかった.32歳時,疼痛を伴う瘢痕部腫瘤を主訴に当科受診した.帝王切開手術瘢痕部に可動性不良で表面皮膚に茶褐色の着色を伴う圧痛のある境界不明瞭な2×3 cm大の腫瘤を認めた.CT, MRIにてデスモイド等の腹壁腫瘍が疑われ,腹壁腫瘤切除術を施行した.病理組織学的所見で,腫瘤に一致した子宮内膜腺組織を認め,腹壁子宮内膜症と診断した.術後3年経過したが,本症例は,現在のところ再発はない.その理由として,十分なsurgical marginをもって完全摘出したことが寄与していると考えられた.

Key words:abdominal wall endometriosis, incisional endometriosis, scar endometriosis, cesarean scar

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1) 35-40, 2010


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