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【症例報告】
敗血症を呈した子宮筋層内妊娠の一例


小畑 聡一朗, 青木 茂, 鈴木 幸雄, 奈良 亜希子, 佐藤 美紀子, 武居 麻紀, 安藤 紀子, 茂田 博行
横浜市立市民病院産婦人科


 子宮筋層内妊娠の頻度は低く,帝王切開術後の子宮切開瘢痕部への妊娠が多い.妊娠のフォロー中に疑われる場合の他,不正性器出血や急性腹症を契機として診断される場合もある.今回我々は,敗血症を呈し,その治療の過程で子宮筋層内妊娠と診断した症例を経験したので報告する.症例は45歳,7回経妊3回経産(3回経腟分娩,2回人工流産,2回自然流産).悪寒,発熱を主訴に当院救急外来に受診した.41.4℃の高熱で,WBC 21,300/μl, CRP 20.1 mg/dlと炎症所見が強く,全身状態不良であった.敗血症を疑い,入院の上,抗生剤の投与を開始した.CT検査で骨盤内に低吸収領域を認め,経腟エコーでは,子宮底部に径3 cmの腫瘤影を認めたが,同部位に圧痛なく,子宮の可動性も良好であったため,抗生剤治療を継続した.しかし,症状が遷延したため,MRI検査を行い,子宮底部に内部不均一,T2強調画像で高輝度に映る腫瘤影を確認した.変性子宮筋腫および周囲の炎症を疑い,保存的治療ではこれ以上の改善は困難と判断し,腹式単純子宮全摘術を施行した.子宮は鵞卵大で両側付属器,腹腔内に癒着を認めなかった.摘出した子宮の底部筋層内に径3.5 cmの腫瘤を認め,内部は壊死していた.病理学的検査で子宮筋層内部の膿瘍内に絨毛,脱落膜を認め,子宮筋層内妊娠の診断に至った.術後経過は良好で,術後8日で退院となった.子宮筋層内妊娠は,頻度は低いが,本例のように敗血症に至る場合もあり,特に子宮内操作の既往のある女性において,子宮筋層内に腫瘤を認める場合には鑑別診断の一つとして考慮する必要があると考えられた.

Key words:intramural pregnancy, sepsis

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1) 73-77, 2010


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