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【症例報告】
非妊娠側子宮が産道通過障害の原因となった双角単頸子宮合併妊娠の1例
印出 佑介, 里見 操緒, 岩崎 奈央, 小野 修一, 山下 恵理子, 平泉 良枝, 村田 知昭, 鈴木 俊治
葛飾赤十字産院産婦人科
非妊娠側子宮が妊娠側子宮頸部の背側に嵌入して産道通過障害を生じた双角単頸子宮合併妊娠の症例を報告する.患者は28歳,未経妊,非妊時体格指数20.4,自然妊娠.双合診と腟鏡診で子宮腟部と外子宮口は単一であり,腟中隔はなかった.超音波断層法で単一の子宮頸管に連続して左右均等に分割する子宮内膜と体部筋層が描出され,子宮底部陥凹を認め,右子宮内妊娠を有する双角単頸子宮と考えた.経過中の胎児発育と羊水量は正常範囲にあった.妊娠37週で後腟円蓋部に手拳大の腫瘤を触知した.Arias-Stella反応を示唆する高輝度の肥厚内膜を有する径90×80×65 mmの非妊娠側子宮がDouglas窩に嵌頓し,児頭下降を妨害していた.子宮の重複奇形による産道通過障害の診断で妊娠39週2日に選択的帝王切開術を施行し,2,944 gの女児を娩出した.子宮体部は頸部近傍まで二分し,外観は重複子宮に似るが総合的に双角単頸子宮と診断した.Apgarスコアは1分値8点,5分値10点,臍帯動脈血pH 7.323,総出血量760 gで,臍帯辺縁付着を認めた.双角子宮の非着床側子宮は経腟分娩の障害となる場合がある.妊娠中はその状態を経時的に把握して管理し,当該患者に情報提供を行う必要がある.
Key words:uterine malformations, uterus, uterus bicornis unicollis
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(1)
93-99, 2010
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