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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
前置胎盤
・癒着胎盤が疑われた広汎性子宮頸部摘出術後の前置胎盤妊娠の一例


水口 雄貴, 青海 咲子, 峰岸 一宏, 宮越 敬, 田中 守, 藤井 多久磨, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科


【背景】近年,若年の子宮頸癌患者の増加や妊娠の高齢化に伴い,初期頸部浸潤癌に対する妊孕性温存手術である広汎性子宮頸部摘出術を行う症例が増加している.術後に妊娠に至った場合,頚管因子による流早産のリスクが高いとされるが,その他の合併症については報告が少ない.今回我々は,広汎性子宮頸部摘出術後に体外受精により妊娠が成立し,癒着胎盤が疑われた全前置胎盤の症例を経験したので報告する.【症例】38歳,1経妊0経産.子宮頸癌Ib1期に対し広汎性子宮頸部摘出術を施行.術後頚管狭窄から不妊症となり,顕微授精-経筋層的胚盤胞移植により妊娠が成立した.妊娠中期より頚管長は約10mmで推移し,全前置胎盤の所見を認めたため,25週より入院管理とした.MRI検査にて,子宮前壁を覆う全前置胎盤や,膀胱直下の子宮筋層内への胎盤の突出と不明瞭な境界像を認め,癒着胎盤の合併が疑われた.経腹超音波上では,筋層の菲薄化や,子宮動脈上行枝由来の側副路の発達と胎盤付着部位への流入を認めたが,筋層と胎盤の境界は明瞭であり,帝王切開時の子宮温存も選択可能と判断した.34週0日,両側尿管ステント留置後,全身麻酔下に選択的帝王切開術を施行した.子宮底部横切開にて児を娩出後,尿管や内腸骨動脈の走行と膀胱剥離が可能であることを確認し,胎盤の剥離を試みた.胎盤は容易に剥離でき止血制御や子宮収縮良好であったため,子宮温存を選択し手術を終了した.術中出血4920mlであった.【結論】広汎性子宮頸部摘出術は妊孕性温存を図れる一方で,不妊症への移行や妊娠合併症のリスクが高くなる.今後はこれらを考慮した更なる術式の改良や周産期管理の工夫が望まれる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 200-200, 2010


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