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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
前置胎盤 ・内腸骨動脈バルーンカテーテル塞栓術により術中出血をコントロールし得た前置胎盤の3症例
秦 ひろか, 奥津 由記, 西島 千絵, 五十嵐 豪, 渡部 真梨, 石山 めぐみ, 田中 宏明, 中村 真, 井槌 慎一郎, 田村 みどり, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
緒言:前置胎盤は帝王切開時に大量出血を伴うことが多く,子宮全摘出や大量輸血が必要になる可能性がある.術前MRIにて癒着胎盤が疑われた3例の前置胎盤症例に対し,内腸骨動脈バルーンカテーテル挿入下に帝王切開術を施行し良好な出血コントロールが可能であった症例を経験したので報告する.症例1:36歳 1経妊1経産.妊娠28週から切迫早産のため入院管理し,妊娠37週2日予定帝王切開施行.胎盤の一部に癒着を認めたが用手的に剥離可能であった.続いてバルーン拡張にて内腸骨動脈を両側塞栓後,子宮内ガーゼ充填し圧迫止血した.術中出血量1926ml,自己血1600ml返血,塞栓時間5分,手術時間58分.術後,癒着剥離部からの止血強化目的に動脈塞栓術施行.症例2:38歳 0経妊0経産.妊娠32週より管理入院.妊娠37週2日予定帝王切開施行.児娩出後,内腸骨動脈両側塞栓.胎盤に癒着なく術中出血量2301ml,自己血1200ml返血,塞栓時間12分,手術時間66分.症例3:43歳1経妊1経産.前回妊娠も前置胎盤にて帝王切開(癒着なし)の既往.妊娠31週より管理入院.妊娠33週5日より,頻回の子宮収縮と警告出血があり翌日バルーン留置後緊急帝王切開施行.児娩出後,内腸骨動脈両側塞栓.胎盤に癒着なく術中出血量1737ml,自己血400ml返血,塞栓時間15分,手術時間70分.結語:前置胎盤症例で特に癒着胎盤が疑われる症例については,内腸骨動脈バルーンカテーテル塞栓下に帝王切開を行うことは,術中出血のコントロールや術式変更に対する安全性確保の面から,その有用性は高く評価できるものと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
202-202, 2010
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