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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
前置胎盤
・前壁付着前置胎盤に対して底部横切開による帝王切開術を施行した3症例の検討


小野 亜希子, 尾本 暁子, 田中 宏一, 鶴岡 信栄, 山地 沙知, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学産婦人科


【緒言】前壁付着前置胎盤では,下部横切開では切開創からの出血も多く,剥離あるいは穿破された胎盤が妨げとなって児娩出に難渋する.そこで,われわれは小辻らによって紹介された子宮底部横切開術を試みたので報告する.【対象】2008年6月以降に経験した子宮体部前壁付着の前置胎盤8症例のうち,前壁付着部が広く子宮前壁の切開では胎盤を回避できないと判断された3症例を対象とした.患者と家族に十分に説明し,同意を得て実施した.【方法】十分な腹壁縦切開の後,超音波下に胎盤の位置を確認し,これより上方で子宮底部を横切開した.児娩出後,胎盤の自然剥離を待ち,剥離しないときは直視下に用手剥離を行った.出血が多い場合は剥離面筋層を全層で縫合止血し,それでも出血が制御できないときや胎盤の剥離が困難な場合に子宮摘出を行った.【結果】3症例のうち2例は子宮摘出となった.そのうち1例は直視下に剥離困難な癒着胎盤を確認したため,他の1例は一旦閉腹した後出血が増加したため子宮摘出となった.この症例では,術中に嵌入胎盤と判断していたが,子宮底部からの視野では頚管内深部の胎盤付着部を観察できず出血評価が適切に行われなかったことが問題と思われた.子宮温存例と摘出例の各1例(出血量:3078g,3150g)では自己血輸血のみ,子宮摘出となった1例(出血量5730g)では自己血輸血と2単位のRCC-LR輸血が行われた.児の状態はいずれも良好であった.【結語】本法は胎盤の剥離操作を直視下で施行できる点で癒着胎盤が疑われる例などにも有用な手技である.しかし,頸管内に胎盤が付着している症例では,剥離面の観察は困難であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 202-202, 2010


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