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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
優秀演題婦人科
・ラマン分光法を用いた婦人科腫瘍組織の解析〜腫瘍の非侵襲的診断に向けて〜


倉崎 昭子, 田岡 英樹, 浅川 恭行, 山本 泰弘, 櫻井 信行, 福田 麻実, 久布白 兼行
東邦大学医療センター大橋病院産婦人科


【目的】ラマン分光法はレーザー照射によって生じる特異的散乱線を計測観察し,被照射物質の分子構造を解析するものである.臨床的には短時間で腫瘍の良悪性診断が可能な新たな分析法として期待されている.しかしレーザー照射時にヒト組織から発生する蛍光ノイズによる妨害のため,その解析が困難であった.今回我々は,新たに開発された近赤外線励起ラマン分光システムを用いて婦人科腫瘍組織の解析を試みたので報告する.【方法】(1)対象は院内IRB承認後,患者から同意を得た子宮頸部ならびに卵巣組織の手術検体12例である.検体は摘出後,室温保存にて12時間以内に解析を行った.(2)レーザー照射にはNd:YAGパルスレーザー(波長1064nm)を用いた.ラマン散乱光の検出はイメージインテンシファイヤーを電子冷却型CCDと組み合わせて行った.検出器の信号はレーザーパルスに同期させており,暗室下での計測を要した従来のラマン分光法と異なり,通常照明の下で計測が可能であった.【成績】(1)子宮頸部組織の解析では,蛋白質の振動であるアミノIバンド(1664cm-1)とCH2 bendingに相当するバンド(1449cm-1)が検出された.(2)卵巣腫瘍組織の解析では,癌充実性部分と非癌部分について,DNA由来のバンドに差異が認められた.【結論】子宮頸部ならびに卵巣腫瘍組織について,1064nm近赤外線励起光を用いることによって,蛍光妨害の無いラマンスペクトルが検出可能であることを見出した.今後,本システムを用いた解析が婦人科腫瘍組織の診断に有用な情報となる可能性が示唆された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 205-205, 2010


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