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<< 学会誌へ戻る 腹膜妊娠は，異所性妊娠のうち0.9％，正常妊娠10万人に対し10.9人と非常にまれな疾患で，経腟超音波で診断の困難なものが多い．死亡率は他の異所性妊娠と比較し約7.7倍高い．症例は30代の女性で，0回経妊0回経産で，前医でIVF-ET施行し，妊娠反応陽性となったが，子宮内に胎嚢を認めず経過観察されていた．妊娠5週相当でも子宮内に胎嚢を認めないために，異所性妊娠の疑いで当院紹介となった．初診時にも子宮内に胎嚢は認めなかったものの，尿中hCG1262U/mlであり経過観察とした．その6日後に軽度の腹痛と性器出血にて外来受診された．経腟超音波にて子宮内に胎嚢はなく，軽度の腹水貯留と右卵巣に黄体を認めるのみで，卵巣，卵管に明らかな異常はなかった．しかし，尿中hCGが6438U/mlと上昇しており，腹腔妊娠を疑い精査・加療目的で入院となった．入院後に緊急でMRI検査を施行した．画像上，子宮，付属器には異常なく，膀胱子宮窩にGS様のリング状の異常信号とそれを囲むように大網と血腫を認めた所見から，大網妊娠または膀胱子宮窩腹膜の腹膜妊娠を強く疑い，同日緊急手術となった．腹腔鏡下では，子宮前面から膀胱子宮窩腹膜に付着する血腫を認め，卵巣，卵管には明らかな異常はなかった．明らかな胎嚢は認めなかったものの，病巣があった付近の血腫を除去し病理検査に提出した．術後翌日の尿中hCGは348U/mlまで低下し，病理検査にて提出した血腫内に絨毛が確認された． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 208-208, 2010 |
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