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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
異所性妊娠A ・妊娠12週で診断され温存療法が奏功した子宮頸管妊娠の1例
川端 伊久乃, 三宅 秀彦, 奥田 直貴, 林 昌子, 中井 晶子, 印出 佑介, 山岸 絵美, 桑原 知仁, 中西 一歩, 大屋 敦子, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院産婦人科
今回我々は,子宮を温存することができた妊娠12週の頸管妊娠の1例を経験したので報告する. 症例は,27歳0回経妊0回経産婦,妊娠12週4日切迫流産の診断で前医より紹介となった.初診時,腟分泌物は血性少量,子宮口閉鎖,頸管は腫大していた.経腟超音波断層法で,子宮頸管内に胎嚢および頭殿長62.3mmの胎児を認め,頸管妊娠と診断した.血中hCG値は62600IU/L.経腟超音波ガイド下メソトレキセート(MTX)20mgを胎嚢内に局注し,胎児心拍停止を確認した.その後,MTX 75mgを毎週投与とし,hCGの下降を待ったうえで胎嚢除去する方針とした.10回投与後,血中hCGは48.8IU/Lまで低下したが,超音波カラードプラ上胎嚢周囲の著明な血流がまだ認められていたため,子宮動脈塞栓術を施行し,その直後に胎嚢除去術を施行した.胎嚢除去術時出血量は1500mlに及んだが,テフロン糸を用いた頸管縫縮,さらに膀胱圧迫様フォーリーカテーテルを頸管内に挿入し圧迫止血した.術後2日目にフォーリーカテーテルを抜去,4日目テフロン糸を抜糸したが,再出血を認めず退院となった.術後3ヶ月目から月経再開し,経過順調である. 本症例は,妊娠12週で子宮温存することが可能であった.子宮動脈塞栓術後直ちに胎嚢除去術を行ったことが,良好な転帰につながったと考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
210-210, 2010
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