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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
産褥 ・帝王切開術後に発症した周産期心筋症の一例
湊口 美紀, 菊地 真理子, 西林 学, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
周産期心筋症は,発症頻度が3000〜4000分娩に一例といわれるまれな疾患である.今回我々は,帝王切開後の周産期心筋症を経験したので報告する.症例は24歳,1経妊1経産.家族歴・既往歴に特記すべきこと無し.前医にて1絨毛膜2羊膜性双胎と診断.その後,前医外来にて管理されていたが,妊娠21週4日切迫早産にて当院産婦人科紹介受診.その後は塩酸リトドリン内服にて外来フォローされていたが,妊娠23週4日,2-3分毎の子宮収縮を認めたため切迫早産管理目的に入院となる.入院後,塩酸リトドリン・硫酸マグネシウムの点滴投与を開始.妊娠31週1日,胎児肺成熟を目的にリンデロン12mgの母体投与を施行.妊娠31週4日前期破水認め,同日緊急帝王切開施行.術中より酸素飽和度の低下認め,酸素投与にて一時回復するも,帰室後SpO2 95%と酸素飽和度の低下認めた.さらに呼吸苦の訴えがあったため,肺塞栓の可能性を考慮し胸部造影CT施行したが,肺塞栓は否定的であった.しかし心臓超音波検査にて左室機能の低下認め,周産期心筋症による心不全と診断された.心臓内科に転科の上,心不全の治療施行し,術後16日目に退院した.周産期心筋症は比較的稀な疾患ではあるが,母体致死率が高いため,呼吸苦や酸素飽和度の低下などを認めた場合には本疾患も念頭にいれておく必要がある.近年本邦では,高齢妊娠,多胎妊娠など周産期心筋症の発症リスクと考えられる症例が増加しているため,本邦でも今後周産期心筋症が増加していくことが予想される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
218-218, 2010
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