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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
産科治療・その他
・腫瘍内MTX局注療法により寛解に至った侵入奇胎の1例


西澤 知佳, 堀井 真理子, 真島 実, 彦坂 慈子, 秋谷 文, 熊耳 敦子, 酒見 智子, 塩田 恭子, 齊藤 理恵, 佐藤 孝道
聖路加国際病院女性総合診療部


【緒言】絨毛性疾患は化学療法が奏効することが多い.今回我々は,薬剤抵抗性のため二次化学療法に変更するもhCG低下不良にて,腫瘍内MTX局注を施行し寛解に至った侵入奇胎の1例を経験したので報告する.【症例】32歳,初回妊娠.妊娠8週時に胞状奇胎疑いにて子宮内容除去術施行し,部分胞状奇胎であったため,12日後に再度子宮内容除去術を施行.7週間後超音波にて侵入奇胎様所見あり当院に紹介受診となった.来院時,hCG 430,051mIU/ml,MRIにて子宮体部筋層から左卵巣に浸潤の疑いがある96mm大の腫瘤性病変あり.絨毛癌診断スコア最大3点,FIGO予後診断スコア6点のため,臨床的侵入奇胎・低リスク群と診断.妊孕性温存のため,MTX単剤にて治療開始した.2コース終了後,効果不良のため,MTX-ACTD併用療法に変更し,5コース施行.hCGがプラトー(hCG3.7,βhCG0.2)になったため,薬剤抵抗性と判断.化学療法による副作用強く,さらなる多剤化学療法への変更が困難であったことから,腫瘍内MTX局注を開始.3コース終了後,hCG1.1,βhCG0.1と低下.その後,5ヶ月間hCG再上昇なく現在,経過観察中である.【結語】標準的治療法にて寛解困難であった臨床的侵入奇胎に対して,腫瘍内MTX局注療法も有効な治療手段となる可能性が示された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 221-221, 2010


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