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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
合併症妊娠@
・妊娠合併原発性肺癌の1例


茂木 絵美1), 渡辺 博1), 多田 和美1), 岡崎 隆行1), 大島 教子1), 田所 望1), 知花 和行2), 福田 健2), 梅津 英央3), 千田 雅之3), 稲葉 憲之1)
獨協医科大学産婦人科1), 獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科2), 獨協医科大学胸部外科3)


妊娠合併悪性腫瘍の頻度は妊婦1000人に1人とされているが,肺癌合併は非常に頻度が低く症例報告も少ない.今回我々は妊娠合併肺癌を経験したので報告する.症例は34歳,1経妊1経産.既往歴に30歳で左境界悪性卵巣腫瘍(粘液性腺腫)に対して左付属器切除施行され定期観察中であった.その後31歳で正常分娩.今回2回目の妊娠を当院外来で管理されていた.妊娠25週頃より咳嗽出現,薬物投与で軽快せず.同時期に施行した腫瘍マーカーCA19-9で916U/mlと上昇を認めた.妊娠30週,咳嗽増悪,血痰出現したため胸部レントゲン,胸部CT検査を施行.右肺下葉に異常陰影,肺炎像を認めたため入院管理となった.境界悪性卵巣腫瘍の再発・転移を疑い精査施行.骨盤MRIでは局所再発の所見なく,PET-CT検査で右下葉・気管支リンパ節に異常集積を認めた.腫瘍マーカーはCA19-9,SLXの上昇を認めた.当院内科で気管支鏡下生検施行し原発性肺癌を疑うadenocarcinomaの病理組織の結果であった.母体の治療を優先するため,妊娠32週5日帝王切開術を施行.児は2022g,Apgar score 8/9の男児でNICU管理となったが経過は良好である.術後母体の状態悪化なく経過し,帝切後6日目に退院.帝切後17日目に当院胸部外科にて原発性肺癌に対し右肺全摘手術を施行,現在術後経過観察中である.術中所見では左心房まで浸潤を認め,妊娠中の評価よりも進行しており,術後診断はstage IIIbであった.妊娠合併悪性腫瘍は進行が速いため,妊娠中に悪性腫瘍の合併を疑った場合,躊躇せず検査を行い適切な診断および治療の時期を逃さない必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 224-224, 2010


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