|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
合併症妊娠A ・2度の生体腎移植後に,クエン酸クロミフェン-AIHにより妊娠した1例
森山 梓, 宗 晶子, 片桐 由起子, 北原 加奈子, 高橋 賢司, 長島 克, 吉田 義弘, 八尾 陽一郎, 前村 俊満, 竹下 直樹, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
【背景】近年の臓器移植成績の向上に伴い,臓器移植後妊娠も稀なことではない.2回の生体腎移植後に不妊治療を経て妊娠・出産に至った1例を報告する.【症例】33歳 0経妊0経産,先天性両腎低形成にて12歳で腎移植を施行し22歳で結婚した.排卵障害にて排卵誘発するも妊娠せず.27歳で離婚し30歳で再婚,その後腎機能の悪化傾向を認めた.そのため早期の妊娠を目的としたICSI-ETが予定されたが腎機能のさらなる悪化により中止した.31歳で移植腎の機能廃絶により透析が導入され,腎2次移植を施行した.術後14ヶ月目に当院受診,3回のクエン酸クロミフェン(CC)-AIHの後,ICSI-ETを施行したが化学的流産であった.2次移植後22ヶ月目,通算7回目のCC-AIHで妊娠成立した.妊娠31週に頸管長の短縮を認め切迫早産にて入院した.妊娠経過中,血中クレアチニン(Cr)値は安定し尿蛋白も認めなかった.妊娠36週で規則的な子宮収縮を認めCrの上昇傾向を認めたためterminationとし続発性微弱陣痛にて陣痛促進するも,NRFSのため緊急帝王切開となった.児は2236gの女児で在胎週数相当であった.【考察】慢性腎不全では卵巣機能不全,無排卵,高PRL血症,性欲減退等が不妊原因となり,腎移植後,腎機能が回復するに伴い改善すると言われる.移植後2-3年の妊娠は予後良好と言われており,5年以上の間隔があると母体の加齢や腎機能悪化のため妊娠に悪影響を及ぼすといわれる.本例は2回の腎移植後,腎機能回復し早期の妊娠を目指しARTが導入されAIHで妊娠・分娩に至った.今後症例数の増加とともに,移植後は適切な時期の妊娠を目指すべくART介入の機会も増えると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
225-225, 2010
|