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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
合併症妊娠A ・糖尿病腎症第3期b合併妊娠で妊娠30週に分娩となった一例
立川 結貴, 牧野 康男, 松浦 広明, 劉 樺, 佐々木 かりん, 安田 理乃, 嶋田 悦子, 土山 哲史, 三谷 穣, 松田 義雄, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
糖尿病腎症合併妊娠では,妊娠高血圧症候群,胎児発育不全や周産期死亡などの頻度が高くなり,糖尿病腎症第3期b以上における妊娠・出産は勧められないとされている.今回我々は,糖尿病腎症第3期b合併妊婦で妊娠継続を強く希望したため,妊娠を継続し,妊娠30週で分娩となった1例を経験したので報告する.症例は29歳,0経妊0経産.15歳より1型糖尿病を発症し,HbA1c値は6-7%台で推移していた.妊娠前は糖尿病腎症第3期bのため,妊娠判明後に妊娠中絶を勧められたが,セカンドオピニオンのために妊娠5週で当院初診となった.本人は妊娠継続の意志が強く,当科と糖尿病内科ならびに関連各科との連携で,リスクに関する十分な説明のもと,妊娠を継続することとなった.妊娠9週にて重症悪阻のため入院となり,以後,分娩まで入院管理となった.入院後,凝固系や肝機能などには異常はなく,妊娠高血圧症候群やHELLP症候群などは認めなかった.腎性貧血に対してはエリスロポイエチン投与や濃厚赤血球輸血を施行した.高血圧については,メチルドパ,ニフェジピンを投与し,血圧を130-140/80-90mmHg程度に維持をした.腎機能に関してはCr 0.8-1.0mg/dl,Ccr 60-70ml/min,尿蛋白1-4g/日程度で推移した.胎児発育不全が次第に顕性化したため,妊娠30週前後での出生前ベタメタゾン投与後の分娩の方針とした.妊娠28週時点から2週間の発育停止を認めたため,妊娠30週でベタメタゾン投与後,骨盤位のため帝王切開術を施行した.児は726g,Apgar score 6/8点(1/5分),SFD,女児であり,NICUに入院となった.外表奇形や呼吸窮迫症候群などは認めず,術後9日現在,良好に経過中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
227-227, 2010
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