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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
合併症妊娠A ・HbA1c≧6.1%を示す,非糖尿病および非妊娠糖尿病
有澤 正義, 砂倉 麻央
都立大塚病院産婦人科
【背景】明らかな糖尿病を示す値として,HbA1c≧6.1%は知られている.最近HbA1cが6.1%を超えるが,いずれも75gOGTTで正常型であった3症例を経験した.【症例】症例1はシェーグレン症候群,プレドニン療法後であったため,HbA1cを測定したところ6.4%を示した.グリコアルブミン(GA)は11.7%,ヘモグロビン値は8.6g/dlで小球性低色素性貧血,アルブミン値2.4g/dlであった.症例2は搬送された妊娠中毒症例で,HbA1cは6.4%,GAは12.1%であった.ヘモグロビン値は9.2g/dl,アルブミン2.5g/dlであった.症例3は,随時血糖測定で100mg/dl超えたため精査を施行した.HbA1cは6.9%,GAは12.2%で,ヘモグロビン値は9.9g/dl,アルブミン3.5g/dlであった.症例1,2,3はいずれも75gOGTTは正常型を示していた.【考察】日本糖尿病・妊娠学会から明らかな糖尿病の基準としてHbA1c≧6.1%が診断基準として報告されている.今回報告した,3症例はいずれも妊娠糖尿病でも糖尿病でもなかった.主な血糖コントロールマーカーとしてHbA1cとGAは知られている.HbA1cは過去1カ月の血糖コントロールを反映するが,鉄欠乏性貧血があるときは必ずしも血糖コントロールを反映しないことが明らかとなった.一方GAは鉄欠乏性貧血に左右されず血糖コントロールマーカーとして有用であった.GAは肝硬変の時,アルブミン合成障害のためアルブミン寿命が延長しGAは見かけ上高値を示す.糖尿病性腎症の時はアルブミン代謝回転の亢進の結果,GAは見かけ上低値を示す.産婦人科領域では,GA値は充分に知られていない.今回の3症例でも合併症とGAの関係が明らかではなかった.GAについて今後検討していきたい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
228-228, 2010
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