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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
合併症妊娠B
・妊娠中に副腎腫瘍摘出を行いIUGRおよび羊水過少に改善を得たCushing症候群合併妊娠の一例


須波 玲, 小室 真祐子, 大木 麻喜, 小笠原 英理子, 正田 朋子, 奥田 靖彦, 平田 修司
山梨大学産婦人科


Cushing症候群は無月経を伴う頻度が高いことから妊娠合併例は稀である.本疾患は早産やIUGRをはじめとした周産期合併症を高率に発症することから厳重な周産期管理が必要とされる.今回,IUGRを呈したCushing症候群合併妊娠症例に対して妊娠中に副腎腫瘍摘出を行い,胎児発育の改善を得た症例を経験したので報告する.【症例】36歳3回経妊1回経産(2回自然流産,前回分娩は妊娠33週で自然早産).妊娠20週時に前医でmoon faceと中心性肥満を指摘され精査にて血中cortisolが異常高値であり,超音波検査にて左副腎に腫瘍性病変があることからCushing症候群を疑い当院へ紹介となった.初診時には著明な低K血症のために自立歩行が困難であり,不眠や不穏などの精神神経症状を伴っていた.胎児推定体重412g(-1.6SD),AFI 3.5cmと羊水過少を伴ったIUGRであった.精査の結果,副腎腫瘍に起因したCushing症候群の診断となり妊娠23週5日に腹腔鏡下副腎腫瘍摘出術を施行した.約2週間後から胎児発育ならびに羊水量に改善傾向が認められ,以後の妊娠経過は順調であった.妊娠36週4日に母体適応にて分娩誘発を行うも陣痛発来後にNRFSとなり緊急帝王切開術を施行した.児は2308g(AGA),Apgar score 8/10の男児であった.母児ともに術後経過は良好で産褥10日目に退院となった.【考案】高cortisol血症に起因した母体の全身状態の変化が子宮内環境にも影響を及ぼすため,本疾患に対しては妊娠中であっても積極的な治療を行うことが周産期予後の改善のために重要と考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 228-228, 2010


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