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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
子宮内膜症・良性腫瘍 ・卵巣腫瘍との鑑別が困難であった子宮腫瘍の2例
高橋 一彰1), 上田 和1), 田沼 有希子1), 松井 仁志1), 佐藤 陽一1), 山本 瑠伊1), 土橋 麻美子1), 斉藤 元章1), 礒西 成治1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学附属第三病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)
婦人科腫瘍における術前診断は,CTやMRIなどの画像診断が広く普及している.しかしながら,骨盤内腫瘍は多彩な画像所見を呈するため,診断に苦慮する場合がある.今回我々は卵巣腫瘍との鑑別が困難であった子宮腫瘍の2症例を経験したので報告する.【症例1】47歳 女性0経妊0経産,下腹部腫瘤感を主訴に受診.経腟超音波検査にて約16cm大の腫瘍を認め,下腹部MRIにても約16cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘍の一部に充実性成分を認め,卵巣悪性腫瘍の疑いにて手術を施行した.開腹所見では,両側付属器は正常,子宮底部より発生する約16cm大の有茎性腫瘍を認めた.術中迅速病理検査にてsmooth muscle tumorと診断,単純子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した.術後病理検査では,smooth muscle tumor of uncertain malignant potentialと診断,現在,外来経過観察中である.【症例2】87歳 女性4経妊3経産,排尿障害を主訴に受診.腹部CTにて約12cm大の骨盤内嚢胞性腫瘍を認めた.下腹部MRIでも12cm大の卵巣腫瘍を認め,T1WIで低信号,T2WIで高信号を示し,卵巣漿液性嚢胞腺腫の疑いとなり手術を施行した.開腹所見では,両側卵巣は萎縮,子宮は鵞卵大に腫大しており,単純子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した.術後病理検査では子宮留水腫の診断であった.今回経験した2症例は,超音波検査やMRIなどの画像診断にて,卵巣腫瘍の疑いのもと手術を施行したが,いずれも子宮に病変が存在していた.現在,様々な画像診断を用いた補助診断が発達しているものの骨盤内腫瘍は術前診断が困難なこともあり,様々な疾患を念頭におき,診断と治療に当たる必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
235-235, 2010
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