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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
子宮内膜症・良性腫瘍 ・診断に苦慮したcotyledonoid dissecting tumorの一例
御木 多美登, 永井 富裕子, 平山 貴士, 遠藤 周一郎, 矢田 昌太郎, 今野 秀洋, 上山 和也, 窪 麻由美, 田口 雄史, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
<緒言>子宮筋腫は日常的にしばしば遭遇する疾患であるが,なかには特異的な発育様式を示し,悪性腫瘍との鑑別に苦慮するものがある.今回われわれは,妊娠初期に急性腹症で発見され,診断に苦慮したcotyledonoid dissecting leiomyomaの症例を経験した.<症例>31歳 0経妊0経産.下腹部痛を主訴に当院へ救急搬送された.経腟超音波上,子宮内に胎嚢を認めず,ダグラス窩に6cm大の充実性腫瘤を認めた.子宮外妊娠又は卵巣嚢腫茎捻転を疑い,同日緊急開腹手術施行したところ,子宮体部より軟らかい小結節がブドウの房状に発育し,その一部より出血を認めた.止血後,一部生検し閉腹.病理検査ではleiomyomaの診断であった.挙児希望あり,妊娠した場合増大し再出血の可能性が高いため,GnRHa投与後腹式子宮筋腫核出術施行した.小結節は子宮体部よりブドウの房状に外向性発育するだけでなく,子宮筋層内を切り裂くように発育していた.病理学的所見は,島状に平滑筋細胞が増生し,その周囲に水腫様変性をきたし,悪性所見は認めなかった.以上より,胎盤分葉状またはブドウの房状に外向性に発育し,子宮筋層内に分け入るように発育する良性平滑筋腫瘍cotyledonoid dissecting leiomyomaと診断した.<結語>cotyledonoid dissecting leiomyomaはその特徴的な発育形態から術前診断に苦慮し,悪性腫瘍が疑われることが多い.きわめて稀な腫瘍であるが,本疾患を念頭におき,特徴的な肉眼像から術中迅速病理診断を行い,適切な術式を選択する必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
236-236, 2010
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