|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
卵巣癌 ・剖検にて判明した閉経後卵巣Dysgerminomaの一例
蔵本 吾郎, 石谷 健, 劉 典子, 中野 千枝, 上田 英梨子, 吉形 玲美, 橋本 和法, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科
【症例】63歳.1経妊0経産.52歳閉経.平成20年3月に子宮頸部上皮内癌に対して子宮頸部円錐切除術を施行し,術後は当科外来にて経過観察されていた.平成21年1月に腹満感と乏尿で外来受診.内診上新生児頭大の腫瘤,経腟超音波で10cmを超える多房性の骨盤内腫瘤,腹水貯留,下腿浮腫,右下腿の腫脹,疼痛が認められ,卵巣癌の疑いにて入院精査となった.腹部造影CTでは左右卵巣に腫瘍,子宮内腔にも腫瘤を認め,腸管周囲の浸潤と腹水を認め,腫瘍マーカーはCA125が631U/mlと高値を認めた.また,Dダイマーが6.73μg/mlであり,右下腿の腫脹,疼痛を認めたため下肢の超音波検査を施行したところ深部静脈血栓を認めたので,ヘパリンとワルファリンを開始した.その後,腹水貯留の増加,呼吸苦が出現したため腹水穿刺を施行した.入院後7日目に意識レベルの低下を認めたためICU管理となり,血液透析を開始したが,大量腹水産生による脱水を来たし呼吸循環動態のコントロールが徐々に困難となり,入院後15日目に永眠した.その後病理解剖を施行したところ子宮体部と付属器は腫瘍で一塊となっていた.また組織診断では,右卵巣原発の未分化胚細胞腫であり,死因は大量腹水と腹腔内出血による循環不全であった.【結語】非若年者に発生した卵巣Dysgerminomaを経験した.本症例は,悪性腫瘍を疑いつつも急激な転帰を辿り生前の組織診断は困難であったが,病理解剖で診断し得たことから剖検による組織診断の重要性を再認識した症例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
239-239, 2010
|