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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
婦人科治療 ・TVM手術導入後10例の手術成績
幸本 康雄1), 松浦 玲1), 吉村 志帆2), 栗城 亜具里1), 神保 正利1)
東京都保健医療公社荏原病院産婦人科1), 社会保険蒲田総合病院産婦人科2)
【目的】骨盤臓器脱に対してTVM(tension-free vaginal mesh)手術を行う施設が増加しており,当院でも2009年1月より同手術を開始している.今回我々は同一術者によって行われた,TVM手術導入後の初期10例について手術成績の検討を行った.【方法】術者が他施設にて2008年6月から開始し同年8月までに施行した3例と,当院にて2009年1月から同年12月までに施行した7例の計10例を対象とした.術式の内訳はAP-TVM 8例,P-TVM 1例,C-TVM 1例で,子宮摘出後の症例を除き基本的に子宮は温存し,4例に頚管切断術を追加した.これらにおける手術時間,出血量,合併症,再発,術前後の排尿状態について検討した.【成績】平均手術時間は169.3分(96-208分),平均出血量は66.1ml(20-144ml)であった.合併症は膀胱損傷2例,メッシュびらん1例であった.再発は頚管切断術を行わなかった症例に子宮膣部のみ脱出する中央再発を2例認めた.10例中9例に術前に膀胱瘤を認め,その全例に排尿障害を認めた(排尿困難5例,頻尿5例,腹圧性尿失禁8例,重複症例あり).排尿困難は術後全ての症例で消失し,頻尿は1例が消失,3例が軽快,1例が不変であったのに対して,腹圧性尿失禁は5例が軽快,2例が不変,1例が増悪しており,改善率がやや低い傾向が見られた.また術後新たに腹圧性尿失禁が出現した症例も1例認めた.【結論】TVM手術導入期においては膀胱損傷などの合併症に特に注意すべきである.術後の短期成績は概ね良好で患者のQOL改善度は高いと思われるが,中央再発や腹圧性尿失禁には留意する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
242-242, 2010
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