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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
婦人科治療 ・混合診療厳重禁止により不妊検査治療は制限されるか
小塙 清
医療法人小塙医院産婦人科
緒言:日本医師会および厚生労働省により混合診療禁止の通達が出されているが,産婦人科は例外的に従来から帝王切開の一部や不妊治療に混合診療が認められてきた.平成22年度以降これらの特例が認められなくなることにより不妊治療における状況は大きく変化すると予想される. 方法:関東信越厚生局の保険医療機関別集団個別指導で,無作為に抽出した平成21年度内の20症例について保険算定が適正な基準で行われているかを検証した.評価は,IVFまたはAIH全過程自費,同日内の混合診療禁止,レセプト病名禁止,月内の診療平均点数1500点以内について各1点として減点方式で行った. 結果:20症例の内訳はIVF10例,AIH6例,タイミング指導並びに不妊検査中4例で,平均点数は(1.5±0.6)であった.不適切な事例としては,IVFまたはAIHで全過程自費でなかった,検査は保険で処方は自費あるいは検査に自費と保険が混在あるいは治療が自費で検査と処方は保険だった,初診患者で無排卵周期症など訴えが無いにも関わらず不妊症の病名で検査を行っていた,平均点数が1500点を超えていたなどであった. 考察:厚労省に限らず各省とも仕分け事業により財源の縮小化を余儀なくされているにも関わらず政府は少子化対策協議会を設置しているが,少子化の打開策が不明瞭である.今回の厚労省による集団個別指導は全国的に不妊治療を行う医療機関を操作することを目的としている.混合診療は,日本医師会および保険医協会が厳重に反対しているため解禁は程遠い状態であり,デフレ不況の折り患者個人の経済負担は計り知れず,医療機関にも大きな打撃を与えると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
244-244, 2010
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