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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
胎児異常 ・妊娠中に巨頭症および大腿骨長短縮を認め骨形成不全症が疑われたAntley-Bixler症候群の1例
千葉 純子, 中島 義之, 草西 多香子, 袖山 雅子, 都築 陽欧子, 本田 能久, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科
Antley-Bixler症候群は,頭蓋縫合早期癒合症,特徴的な顔貌,上腕骨橈骨の骨性癒合,多発性関節拘縮などを合併する先天奇形症候群であり,64,500分娩に1例とされる.fibroblast growth factor receptor 2(FGFR2)やP450 oxidoreductaseの異常が原因として考えられている.今回我々は,妊娠中に大腿骨長短縮より骨形成不全症が疑われ,出生後Antley-Bixler症候群と診断された症例を経験したので報告する. 症例は33歳0回経妊0回経産.妊娠21週に大腿骨長短縮を指摘され当院紹介となり,初診時の超音波検査にて,軽度の大腿骨長短縮と片側の多嚢胞性異形成腎を認めた.以後外来での経過観察となったが,巨頭症が急激に進行し児頭大横径が10cmを越え,児頭骨盤不均衡および骨形成不全症による病的骨折の可能性も考慮し,妊娠38週1日帝王切開術施行し,2,500g,Apgar score 1分後9点(5分後9点)の女児を分娩した.児は前頭部突出,眼球突出などの特有な顔貌で,右側多嚢胞性異形成腎,臍ヘルニア,喉頭軟化症,腟尿道開口部異常,両側上腕骨と橈骨の癒合を呈し,頭部CT検査より冠状縫合の早期癒合を認め,Antley-Bixler症候群と診断された. 頻度は少ないが,四肢短縮型を示す骨系統疾患において,Antley-Bixler症候群などの頭蓋骨縫合早期癒合症も鑑別すべき疾患の一つとして,念頭に置くことが大切であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
246-246, 2010
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