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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
胎盤
・子宮内胎児発育遅延(IUGR)と絨毛の虚血性変化


有澤 正義
都立大塚病院産婦人科


【背景】IUGRの原因の中に胎盤原因がある.今回はIUGRの原因として組織学的な胎盤異常の虚血性変化について検討する.虚血性変化を示した3例の胎盤を病理的に検討し臨床に役立てたい.【症例】症例1は重症の妊娠中毒症,IUGR,non-reassuring fetal state(NRFS)のため緊急帝王切開術となった.胎盤床の血栓,絨毛の虚血性変化梗塞が認められた.症例2はIUGR,NRFSのため緊急帝王切開術となった.胎盤の病理診断はGitterinfarctsであった.症例3は羊水過少とIUGRの症例で,胎盤の病理診断はVillitis of unknown etiology(VUE)であった.【考察】絨毛の虚血性変化として,3つの病態を解説する.症例1はらせん動脈の生理的変化が不足することによる胎盤への血流不足,酸素不足である.このために末梢の絨毛は虚血性変化を合併する.末梢絨毛は,低酸素に対応するために小さくなって表面積をふやす.合胞体結節を作り絨毛内血管と母体血の距離を縮めることで胎盤内での低酸素に適応しようとするが,絨毛は梗塞を合併する.症例2は,胎盤全体にfibrinの沈着が認められた.胎盤内は,人間の臓器の中で最も血流が緩徐になる臓器である.それゆえ,凝固が一番発症しやすい場となっている.絨毛および間腔にフィブリンが大量に沈着する病態はGitterinfarctsとして知られている.症例3は散在性に広範囲なVUEが認められた.肉芽化したVUEに絨毛の虚血性変化や梗塞を伴っていた.これら3例の虚血性病変は機序が違うが児の低酸素状態を起こすということは同じである.悪くなった子宮内環境の改善は難しい.治療としては子宮外の環境に切り換えることも考慮される.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 248-248, 2010


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