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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
胎盤 ・胎児貧血を呈した間葉系胎盤異形成(PMD)の1例
関坂 みゆき1), 櫻井 学1), 道上 大雄2), 兒玉 理1), 越智 有美1), 漆川 邦1), 藤木 豊1)
水戸済生会総合病院産婦人科1), 筑波大学産婦人科2)
【緒言】間葉系胎盤異形成(Placental mesenchymal dysplasia:PMD)は,絨毛の一部が嚢胞状の構造をもつものの胞状奇胎とは異なり,続発性絨毛性疾患の発生をみない稀な疾患である.今回IUGR及び胎児貧血を呈したPMDの1例を経験したので報告する. 【症例】31歳,未経妊.胎盤に嚢胞様構造を認めたため妊娠16週に当院紹介となった.初診時超音波所見では,胎盤の8×4cmの範囲で径5mm程の嚢胞が多数確認された.胎児には異常所見は認めず,また血中hCGは正常値であった.妊娠30週3日には嚢胞はほぼ描出されなくなったが,妊娠32週頃よりIUGR傾向を認めた.妊娠36週4日の健診で推定児体重1966g,呼吸様運動・胎動・筋緊張が認められなかった.超音波ドプラ法による血流解析ではMCA-PSV 89.2cm/sより胎児貧血が疑われた.NSTでは遅発一過性徐脈を認め,同日胎児機能不全を適応に緊急帝王切開を施行した.児は男児で1827g,APGARスコア5(1分)-9(5分),UApH 7.267であった.Hb 7.4g/dlと高度の貧血を認めた.胎盤は715gで14×23×2.5cm,肉眼的には径3cmほどの結節のほか,径1-10mmほどの小嚢胞が多数見られた.組織学的には間質は浮腫状で,cisternの形成があり異型のない小型の紡錘形細胞が疎に増生していた.一方で絨毛細胞の増殖や絨毛細胞嵌入は認められず,PMDと診断した. 【結論】妊娠後期からIUGR傾向を認め,胎児貧血を呈したPMDを経験した.PMDを疑った際は,胞状奇胎との鑑別のほか,その胎児評価も慎重に行う必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
249-249, 2010
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