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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
産科感染症
・重症先天性トキソプラズマ症に対して胎児治療を施行した1例


田丸 俊輔1), 高木 紀美代1), 若松 昌巨1), 小野 恭子1), 堀越 嗣博1), 宮下 進2), 菊池 昭彦1), 小木曾 嘉文3)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター新生児科2), 長野県立こども病院臨床病理科3)


【はじめに】先天性トキソプラズマ症はトキソプラズマ(Toxoplasma gondii)が妊婦に感染し起こる最重症型トキソプラズマ症である.今回胎児腹水,側脳室拡大で発見された先天性トキソプラズマ症の1例を経験したので報告する.【症例】21歳,0経妊0経産.妊娠22週2日に胎児腹水を指摘され,精査目的に妊娠23週4日に当科初診した.胎児超音波検査で胎児腹水,心嚢水,脳室拡大,羊水過少を認めた.母体血液検査で,トキソプラズマ抗体(PHA)81920倍,トキソプラズマIgG240IU/mL以上,トキソプラズマIgM2.4であり先天性トキソプラズマ症が疑われた.妊娠25週1日よりスルファドキシン・ピリメタミン錠1錠/日(+葉酸5mg/日)を3週間,妊娠28週4日よりアジスロマイシン500mg/日を3日間内服4日間休薬のスケジュールで分娩まで,妊娠31週6日よりアセチルスピラマイシン1.2g/日の内服を行った.胎児発育は良好だが腹水,側脳室拡大は不変であった.妊娠32週2日に前期破水し,妊娠32週4日に2036gの男児を経腟分娩した.出生後頭部CT,MRIで側脳室拡大,脳実質石灰化,大脳部分欠損を認め,脈絡膜炎を合併し先天性トキソプラズマ症と診断した.臍帯血トキソプラズマIgMは0.5で,胎盤組織,髄液のトキソプラズマPCRは陰性であった.【まとめ】妊婦のトキソプラズマ感染時の適切な治療は垂直感染を予防し児の予後を改善するため,欧米ではスクリーニング,治療法が確立している.近年生活様式の欧米化で,日本でも先天感染のリスクが高まりつつあり管理方針の確立,啓蒙が急がれる.本症例における胎児治療を文献の考察を加え検討し報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 251-251, 2010


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