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<< 学会誌へ戻る 【緒言】リステリア感染症は，健康な成人には比較的稀な感染症だが，妊婦はリステリア菌に対する感受性が十数倍高くなるとされる．母体には軽い風邪様症状しか示さないことが多いが，血行性に子宮内感染を来たし，流早産，胎児死亡，乳児の髄膜炎/敗血症を引き起こす．今回，性器出血より常位胎盤早期剥離を疑い，術後に母児リステリア感染症が判明した症例を経験した．【症例】39歳，0経妊0経産．血液型Rh陰性．高血圧，多発子宮筋腫合併．妊娠35週2日，胎動減少，性器出血を主訴に来院．CTG上，accelerationは認められず，variabilityは消失していた．軽度の子宮収縮を5〜6分間隔に認めた．経腹超音波検査にてBiophysical Profiling Score 4点であり，non-reassuring fetal status（NRFS）と判断した．子宮口から暗赤色粘稠の出血少量を認め，常位胎盤早期剥離を疑い緊急帝王切開の方針となった．しかし，出棟時に白血球27520/μl，CRP 3.7mg/dlと炎症反応高値が判明し，NRFSの原因として子宮内感染症も考えられた．羊水は黄白色粘稠に混濁，2004g男児，Apgar score 2/4にて児を娩出した．胎盤に常位胎盤早期剥離所見は認められなかった．術前よりセフメタゾールを投与していたが，児よりリステリア菌が検出されたためリステリア感染症と診断し，第6病日よりアンピシリン及びアミカシンに変更した．以降治療経過は良好となり，12日目に抗生剤投与を中止し第21病日退院となった．【考察】リステリア感染症は汚染食品の経口摂取により罹患する．早期発見，延いては早期治療が困難であることから，妊娠中は原因としてしばしば挙げられる生乳やチーズの生食を避けるといった予防が重要である． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 252-252, 2010 |
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