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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
産科感染症
・急性呼吸促迫症候群と考えられた敗血症妊婦の一例


玉石 絢香, 難波 聡, 湊口 美紀, 西林 学, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科


妊娠39週に合併症なく敗血症性ショックをきたし,急性呼吸促迫症候群(ARDS)を併発したと考える1例について文献的考察を加えて報告する.〔症例〕31歳,0回経妊0回経産.先天性総胆管拡張症の既往があり3年前に根治手術を施行されている.妊娠39週までの妊娠経過で特に異常を指摘されていなかった.妊婦健診より帰宅後38℃台の発熱を認めたため前医にて入院管理となった.翌日,呼吸苦が出現しSpO2低下を認めた.血液検査と胸部Xp検査の結果,胸膜炎による重症感染症の診断にて当院へ母体搬送となった.到着時ショックバイタルを認め,胸部Xpは前医の所見と比して両下肺浸潤影が著明に悪化していた.NSTでNRFSと診断し,全身麻酔下に緊急帝王切開術を施行した.挿管下にICUで管理した.エンドトキシンショックおよびSIRS(全身性炎症反応症候群)の診断のもと,シプロフロキサシン・メロペネム点滴/コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム/メシル酸ガベキサート/シベレスタットナトリウム水和物,さらにDOA/DOB/NOAの併用による治療を行った.術後創部や子宮収縮の経過は良好であった.第6病日に抜管したが翌日誤嚥性肺炎を発症.抗菌薬継続により全身状態は徐々に改善し,第25病日に母子ともに退院となった.血液培養ではクレブシェラとE.coliが検出された.なお,第10病日に胸腹骨盤CT検査を施行したが,明らかな感染部位は認めなかった.妊婦は,誘因なく重症感染症になることもあり,診断加療の遅れが妊産婦死亡につながる可能性があるので,感染症状の悪化が見られた場合は,遅延なく十分な管理を行うことが肝要であると考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 253-253, 2010


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