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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
合併症妊娠C ・Upshaw-Schulman症候群合併妊娠の1例
関口 将軌, 関川 佳奈, 高嶺 智子, 寺内 公一, 宮坂 尚幸, 久保田 俊郎
東京医科歯科大学周産・女性診療科
【緒言】Upshaw-Schulman症候群(以下USS)はvon Willebrand因子特異的切断酵素(別名ADAMTS13)活性低下により生じる先天性血小板減少性紫斑病である.USSはしばしば妊娠を契機に発症・診断されるが,小児期に診断されたUSS患者の妊娠・分娩報告例はない.今回我々は小児期に診断されたUSSを合併した妊娠に対して,頻回の新鮮凍結血漿(以下FFP)輸血療法を行い生児を得た1例を経験したので報告する.【症例】症例は22歳,1経妊0経産.2009年5月下旬を最終月経とする続発性無月経にて当科を初診し,妊娠7週6日と診断した.患者は13歳時に当院小児科でUSSと診断され,1-2カ月に1回の定期的なFFP輸血を行っていた.妊娠の診断後はFFP 2単位の輸血を2週に1回施行し血小板数を管理した.妊娠27週からは血小板数を維持するために1週に1回の輸血が必要となり,妊娠33週からはさらに頻回の輸血を要した.また妊娠27週から胎児発育不全が,妊娠32週から妊娠蛋白尿が疑われた.妊娠34週0日に管理入院とし,輸血の頻度・量を増やして血小板数のコントロールを行い分娩に備えた.入院後胎児発育は不良であり,USSの増悪・妊娠高血圧症候群発症の危険性も考慮して妊娠35週3日に選択的帝王切開術を施行した.児は1446gの女児,Apgarスコアは8点(1分)/9点(5分),術中出血量は902g(羊水を含む)であった.術後はFFP輸血の必要頻度は減少し,術後8日に退院となった.【結語】小児期に診断されたUSS症例においても,適切な管理のもとで妊娠・分娩が可能であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
255-255, 2010
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