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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
合併症妊娠C ・当院における稀な血液型妊婦の経験症例とそれに対する対応
岩宗 政幸, 佐藤 達也, 牛久 妙, 矢崎 淳, 平石 光, 田村 友宏, 定方 久延, 勝俣 祐介, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
【緒言】妊婦が稀な血液型であった場合,胎児貧血や新生児溶血性貧血の発症の可能性も考えられるため臨床的な対応が重要になってくる.また,大量出血の際の輸血用血液の確保も困難となる.当院で経験した3症例,及び対応を報告する.【症例1】35歳,2回経妊0回経産,16歳時献血にて抗P1PPk抗体陽性を指摘されていた.P型血液型不適合妊娠のため当科紹介.抗体価及びMCA-PSVをフォローしつつ自己血貯血し経腟分娩とする方針とした.児発育良好,母体経過良好.抗体価も32倍まで低下.交換輸血が必要となった場合に備えてO型p型血液を手配し,誘発開始,妊娠39週5日に分娩.児の状態は良好,溶血性貧血の所見なし.母児ともに経過良好にて退院.【症例2】40歳,0経妊,初期検査にて不規則抗体は指摘されず.児発育良好・母体経過良好,骨盤位のため帝王切開の方針となった.入院時の不規則抗体スクリーニングにて抗Gregory抗体陽性と判明.O型Gy(a-)の血液を手配し妊娠38週5日帝王切開施行.児の状態は良好,溶血性貧血の所見なし.母児ともに経過良好にて退院.【症例3】31歳,0経妊,初期検査にて抗Jra抗体陽性を指摘され当科紹介.自己血貯血し,自然陣発を待つ方針とした.自己血5回貯血し,陣痛発来,妊娠40週1日正常分娩.児の状態は良好,溶血性貧血の所見なし.母児ともに経過良好にて退院.【まとめ】当院での対応を以下に示す.1)定期的な抗体価の測定,2)MCA-PSVによる胎児貧血の有無の確認,3)母児への血液を確保できるような計画分娩,4)臍帯血にて出生後の児の評価,5)ミノルタ黄疸計の測定値による新生児黄疸の評価.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
256-256, 2010
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