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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
婦人科・その他 ・MRIにて診断し得た腟内異物の4歳女児例
矢木 さやか, 小松 浩司郎, 島村 京子, 亀田 高志, 鏡 一成, 深石 孝夫
桐生厚生総合病院産婦人科
【諸言】小児における腟内異物は多いものではなく,エピソードの曖昧さ,診察の困難さ,性器発育の不十分さから診断が遅れる場合が多い.画像検査では確定診断が難しいのも現状である.そこで今回われわれはMRIにより診断し得た腟内異物の症例を経験したので報告する.【症例】症例は4歳女児,出生歴,発達歴に特に異常なし.1年以上前から黄色帯下を母親に確認されており,近医小児科から外陰部腟炎の診断を受け,抗生剤軟膏塗布などの加療をされていた.しかし治療に反応せず,当院小児科を受診し抗生剤を内服した.2週間の投与にも反応せず,当科へ紹介された.初診時,下着に赤褐色の帯下付着を認めた.治療抵抗性の帯下であることを踏まえ,腟内異物を疑い腹部超音波検査を行ったところ,恥骨下部,腟周辺に音響陰影を伴う高エコー域を認めたが確定診断には至らなかった.さらに骨盤単純X線写真を撮影したが,特に異常は認めなかった.小児科,放射線科と相談し,さらなる画像検索として睡眠下でのMRI撮影を選択した.睡眠中に腟内診察も試みたが,体動により十分な検索はできなかった.MRIでは子宮腟部直下に液体貯留を伴う異物の存在を疑った.全身麻酔下に腟内を観察すると,腟最奥に1cm大の異物を発見した.摘出物は丸めた絆創膏と思われた.その後帯下は速やかに消失したため,帯下の原因は腟内異物であったと推測した.【考察】小児における腟内異物は画像による診断が困難であるとされているが,本症例のようにMRIで診断することも可能なため,まず非侵襲的な画像診断を選択することが必要だと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
261-261, 2010
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