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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍@ ・選択的子宮動脈塞栓術後に子宮穿孔をおこした子宮内膜間質肉腫の一例
平岩 由紀子, 松永 竜也, 小平 博
横須賀市立市民病院産婦人科
【緒言】子宮内膜間質肉腫は発生頻度の低い腫瘍であり,通常は子宮内膜原発の充実性腫瘍として知られている.今回我々は,腫瘍の一部が筋腫分娩様に腟内に大きく突出した子宮内膜間質肉腫を経験した.【症例】62歳主婦,2回経産.閉経58歳.排尿困難を主訴に受診した近医にて骨盤内腫瘍と重症貧血を指摘され,当院外来へ紹介となった.下腹部に超手拳大の腫瘍を触れ,さらに腟鏡診で腟内に充満する易出血性腫瘍と悪臭強い帯下を認めた.初診翌日より入院とし,輸血を施行しながら精査を開始した.骨盤MRIにて子宮腫瘍を認めた.腫瘍は筋腫分娩様に腟内に突出し,このため子宮腟部は同定が困難なほど展退していた.組織診からendometrial stromal sarcomaと診断された.臨床進行期2期と診断し準広汎子宮全摘術を行うため,まずは腟内腫瘍を切除する目的に選択的子宮動脈塞栓術およびCDDP動注化学療法を行ったところ,その4日後子宮穿孔をおこし緊急開腹手術となった.【手術所見】腹腔内は膿性腹水が多量に貯留し汎発性腹膜炎を呈していた.子宮は数か所壊死による穿孔がみられた.単純子宮全摘術および両側付属器切除術を行い,手術を終了した.【術後経過】術後はICU入室し,集学的治療にて救命し得た.病理組織診では,腫瘍全体が強度に壊死しており悪性度の診断はできず,更に脈管浸潤の有無と腟断端も評価不明であった.手術進行期は3期であるため,術後補助療法として化学療法を選択し現在実施中である.【結語】巨大な子宮肉腫に対し,選択的子宮動脈塞栓術を行ったところ,腫瘍の壊死による子宮穿孔をきたした症例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
268-268, 2010
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