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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍@ ・腫瘍随伴ネフローゼ症候群が癌治療により寛解した婦人科悪性腫瘍の2例
堀澤 信, 鹿島 大靖, 塩野入 規, 樋口 正太郎, 橘 涼太, 高津 亜希子, 鈴木 昭久, 宮本 強, 堀内 晶子, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科
さまざまな悪性腫瘍にネフローゼ症候群が合併することが報告されている.本邦では胃癌,肺癌,悪性リンパ腫への合併が多く,婦人科悪性腫瘍に合併することは稀である.今回,ネフローゼ症候群を合併した婦人科悪性腫瘍に対して集学的癌治療を行い,ネフローゼ症候群が寛解した2症例を経験したので報告する.症例1は72歳,2006年6月前医で子宮体部漿液性腺癌に対し,単純子宮全摘術と両側付属器摘出術,術後weekly(w)TC療法6コースが行われた(術前蛋白尿なし).2008年11月に検診にて蛋白尿,低アルブミン(Alb)血症を指摘,ネフローゼ症候群(微小変化群)と診断され,原因検索のためのMRIで骨盤内に1cmの腫瘤を認めたため当科を受診,PETにて同腫瘤に集積を認め子宮体癌再発と診断した.入院時血清Alb1.9g/dl,蛋白尿(5.6g/日)であり,術前にAlbを補充し2009年5月再発腫瘤摘出術を行った.腹腔内には前述の腫瘤以外に微小な腹膜播種を多数に認め,病理診断は漿液性腺癌であった.術後wTC療法6コース施行し,残存腫瘍は消失,尿蛋白は陰性化しネフローゼ症候群は寛解した.症例2は62歳,腹部膨満感を認め,卵巣癌の疑いで当科を受診,骨盤内に充実成分を有する新生児頭大の多房性腫瘤を認め,また血清Alb 2.3g/dl,蛋白尿(5.7g/日)よりネフローゼ症候群(腎生検未施行)と診断した.術前にAlbを補充し腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,播種巣摘出術を施行,病理診断は漿液性腺癌であった.術後wTC療法を開始,尿蛋白は陰性化しネフローゼ症候群は寛解した.現在も化学療法継続中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
268-268, 2010
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