|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍@ ・悪性腫瘍治療中に制吐剤による錐体外路症状を呈した3例
秋谷 文, 佐藤 孝道, 齊藤 理恵, 塩田 恭子, 酒見 智子, 熊耳 敦子, 漆原 知佳, 彦坂 慈子, 真島 実, 堀井 真理子
聖路加国際病院女性総合診療部産婦人科
【目的】パーキンソンニズム・アカシジア・ジストニアのような錐体外路症状は嘔気嘔吐の予防軽減のため投与される抗ドパミン作用のある中枢性制吐薬の副作用としてみられることがある.錐体外路症状を薬剤の副作用と診断するのはその症状の多彩さからしばしば困難である.今回中枢性制吐薬による錐体外路症状の3例を経験したので報告する.【症例】症例1:子宮体癌に対して化学療法中に制吐剤を投与.ジストニア<四肢硬直・舌のこわばり>が出現.制吐剤を中止・変更としたところ症状は改善した.症例2:子宮頚癌の放射線同時化学療法中に制吐剤を投与.ジスキネジア<舌のねじれ>が出現した.制吐剤の投与を中止したところ症状は改善した.症例3:卵巣癌患者の緩和ケアとして制吐剤を投与.アカシジア<静座不能など>が出現.当該制吐剤の投与を中止・変更したところ症状は消失した.【考察】制吐剤の副作用としてみられる錐体外路症状にはパーキンソンニズム<四肢硬直・仮面様顔貌・振戦・小刻み歩行など>・アカシジア<むずむず感の出現・静座不能など>・ジストニア<斜頚・項部硬直・舌のねじれ・四肢のつっぱりなど>などがあげられる.症状は多彩でこの病態が疑われた場合は当該薬剤を中止・変更することによって症状の軽減が得られれば診断は確定する.がん患者の診療に当たってはその訴えに耳を傾け症状を的確に把握することが重要であることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
269-269, 2010
|