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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍A・婦人科感染症 ・子宮内膜組織診にて診断されたPSTTの一症例
榎本 英夫, 栗田 郁, 山本 篤, 飯塚 真, 林 雅綾, 安藤 昌守, 濱田 佳伸, 坂本 秀一, 林 雅敏
獨協医科大学越谷病院産婦人科
PSTT(胎盤部トロホブラスト腫瘍)は,絨毛性疾患の1〜2%を占める稀な腫瘍であり,全世界で1976年以来およそ100例が報告されている.他の絨毛性疾患とは以下のような点で異なる傾向を示す.(1)腫瘍サイズと血清hCG値が必ずしも相関しない.(2)他の絨毛性疾患と比べて化学療法に対する感受性が概して低い.(3)良好な臨床経過を取るものが大部分であるが,10〜15%が治療抵抗性を示し,多発転移により死亡するものがあるなど,多彩な臨床経過を示す.今回我々は,当初の臨床診断は不全流産であったが,実はPSTTであったという症例を経験したので報告する.症例は28歳,2経妊2経産.2回目の分娩後ほぼ2年を経た時期に,不全流産との診断にて近医で子宮内容清掃術を施行し,内容物の病理組織診がPSTT疑いとのことにより,当科へ紹介された.血中β-hCGは657mIU/mlで,当科の子宮内膜組織診でもPSTTが強く疑われると診断された.初診より約4週後に腹式単純子宮全摘+両側卵管切除施行.肉眼的には,子宮体部後壁筋層内から粘膜側へ膨隆する鶏卵大の灰黄色腫瘤が認められた.組織学的にはPSTTと診断された.その後,EMACO療法を6クール施行し,現在まで再発を認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
270-270, 2010
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