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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍A・婦人科感染症
・骨盤内原発不明癌の一剖検例


市瀬 茉里, 安藤 一道, 渡邊 理子, 中川 潤子, 山田 学, 木戸 道子, 笠井 靖代, 宮内 彰人, 石井 康夫, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター産婦人科


【症例】68歳女性,当院内科通院中,CEA5.8ng/mLと軽度上昇を認め,CT施行したところ,両側水腎症・肝転移・骨転移を指摘された.入院3ヶ月前に血尿を認め,膀胱炎が疑われ,抗菌薬内服で軽快していた.入院2ヶ月前より尿量低下を自覚,入院時の主訴は,肩甲骨痛・腰痛であった.骨盤内悪性腫瘍疑いのため,泌尿器科・婦人科に紹介となった.腫瘍マーカーは,CEA 4.3ng/mL,CA19-9 112U/mL,CA125 22U/mL,SCC 3.5ng/mL,尿中NMP22 33.5U/mLと上昇を認めた.MRIで,膀胱後壁肥厚,子宮頚部から外陰部まで連続して腫瘤を認めた.尿細胞診classIIであり,膀胱鏡では後壁全体が隆起し,膀胱癌としては非典型的と判断された.婦人科診察では,子宮膣部は腫瘍で一塊となり,組織診で角化も腺管形成も明らかでない低分化癌を認め,子宮頚癌IVbと診断した.入院後,骨盤外部照射を開始,尿路感染・腎機能障害のため,腎ろう造設した.発熱・汎血球減少・凝固異常出現し,総線量40Gyで放射線治療中止.発熱・腎機能障害進行し,入院後約2ヶ月で死亡した.剖検診断は,膀胱原発移行上皮癌 子宮・膣・直腸浸潤・多臓器転移であり,非常に低分化であった.腎周囲膿瘍を認め,感染源と考えられた.【結論】膀胱と子宮頚部が一塊となった状態で発見され,低分化であったため,臨床診断では原発巣同定が困難であった.膀胱移行上皮癌は,乳頭状発育を示すものが多いが,潰瘍状・浸潤型もあることを認識し,尿細胞診に加え,尿中腫瘍マーカーも参考にする必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 270-270, 2010


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