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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍A・婦人科感染症 ・習慣的温水洗浄便座使用と細菌性膣炎(第2報)
荻野 満春1), 箕浦 茂樹1), 飯野 孝一2)
国立国際医療研究センター・戸山病院産婦人科1), 医療法人・飯野病院産婦人科2)
【緒言】我々は昨年11月の本学会で,習慣的温水洗浄便座使用が子宮頚管膣分泌物(CVS)細菌叢を悪化させている事実を報告した.今回,出産の有無による習慣的温水洗浄便座使用とCVS細菌叢悪化について興味ある知見を得たので報告する.【対象・方法】2008年12月〜2009年9月の間に「帯下の増加」を主訴として両施設を受診した非妊娠女性(19〜40歳)について温水洗浄便座使用に係わる詳細を聴取した.習慣的使用者と判断された110例を対象として,滅菌綿棒でCVSを採取し標準培養に供した.倫理面の配慮:2004年の厚労省告示第459号・Helsinki宣言(東京改正版)に準拠.【結果】対象の内訳は,未産婦56例(A群)・経産婦54例(B群)だった.正常細菌叢であるデーデルライン桿菌(Lact)陽性はA群34例(60.71%)・B群20例(37.04%);Lact陰性はA群22例(39.28%)・B群34例(62.96%)と,Lact陽性は未産婦で高く,Lact陰性は経産婦で高かった.腸内細菌を認めた36例(32.72%)中26例はA群(72.22%),10例はB群(27.78%)と未産婦に多かった.腸内細菌を含む悪玉菌及び真菌の延べ検出数はA群78,B群82と有意差はなかった.また,両群でLactのみ陽性例は皆無だった.【考察】温水洗浄便座の習慣的使用がCVS中細菌叢の悪化をもたらす事は既に報告したが,今回の研究から出産の有無がLact消失及び悪玉菌(特に腸内細菌)汚染に関係する事が明らかとなった.以上から,未産婦の習慣的温水洗浄便座使用には特に慎重な配慮が必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
271-271, 2010
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