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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【教育セミナー3】
新FIGO進行期分類について


久布白 兼行
東邦大学医療センター大橋病院産婦人科


 今回の新しいFIGO進行期分類は2006年マレーシアで開催されたFIGOの総会において,子宮頸癌,子宮体癌,外陰癌の進行期分類改定案と子宮体部肉腫の新進行期分類案が提示され,その後IGCS,GCIG,ISGyPやSGOなどをはじめとする国際団体の会議において検討が進められた.そして最終案が2008年9月のFIGO理事会において承認され,2009年1月に発効となった1),2).日本産科婦人科学会は新FIGO進行期分類の解説記事を公表している3).本講演では,進行期分類の改定のポイントを中心に述べる.
1.子宮頸癌
 旧分類の0期(上皮内癌)は前がん病変であるという認識から削除された.旧分類のIIA期はIB期と同様に腫瘍のサイズによって細分類されることになった.すなわち病巣が4.0cm以内のものはIIA1期,病巣が4.0cmをこえるものはIIA2期とされた.これはFIGOのデータからIIA期では腫瘍径や容積が予後に影響を与えることが示されたことに基づいている.その他に画像診断としてMRIやCTが実施可能な施設は検査所見をFIGOに登録することなどがある.
2.子宮体癌
 旧分類IA期とIB期は新分類IA期となり,旧分類IC期は削除された.FIGOのデータで旧分類IA期とIB期の間で5年生存率に有意差は認められないことから,筋層浸潤が1/2未満をIA期,また筋層浸潤1/2以上はIB期とした.旧分類II期について,新分類では癌が頸部間質に浸潤するが子宮を超えていないものとされた.すなわち新分類では頸管腺のみを侵すものはI期とされた.新分類IIIA期では腹腔細胞診陽性例は除外された.その根拠としては腹腔細胞診陽性の予後因子としての重要性は報告によって一致していないことがある.また旧分類IIIC期については,骨盤リンパ節転移陽性のものをIIIC1期,骨盤リンパ節転移の有無にかかわらず,傍大動脈リンパ節陽性のものをIIIC2期と細分類することとなった.これは骨盤リンパ節転移陽性で傍大動脈リンパ節転移陰性の症例は,傍大動脈リンパ節転移陽性例に比べ予後良好であるというデータに基づいている.
3.子宮体部肉腫
 子宮体部肉腫は子宮体癌とは生物学的特性が異なるという認識から,新たに進行期分が作成された.子宮体部肉腫を大きく平滑筋肉腫,子宮内膜間質肉腫,腺肉腫に分け,I期は腫瘍径あるいは筋層浸潤の程度などによってそれぞれ細分類することとなった.また癌肉腫は体癌の新分類を使用することとなった.
4.外陰癌
 旧分類0期は前がん病変であるという認識から,新分類から削除された.また新分類ではI期は腫瘍の大きさと間質浸潤の深さによってIA期とIB期に細分類された.II期〜IV期について改定され,III期では腫瘍の大きさに関係なくリンパ節転移の有無,転移の個数,大きさなどが考慮されている.

文献
1)Pecorelli S. Revised FIGO staging for carcinoma of the vulva, cervix, and endometrium. Int J Gynecol Obstet 2009;105:103-104
2)FIGO staging for uterine sarcomas. Int J Gynecol Obstet 2009;104:179
3)櫻木範明 子宮頸癌,子宮体癌,子宮体肉腫,外陰癌の新しいFIGO進行期分類についての解説 日産婦誌2010;62:1084-1100


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 300-301, 2010


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