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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(婦人科1) 再発卵巣癌に対しBevacizumabを併用し大量腹水の消失を認めた1例
道上 大雄, 水口 剛雄, 岩城 真奈美, 野口 里枝, 越智 寛幸, 小貫 麻美子, 岡田 智志, 松本 光司, 佐藤 豊実, 沖 明典, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科
【緒言】分子標的治療薬Bevacizumab(BEV)は現在卵巣癌において多数の臨床試験が行われ,予後改善に対する効果が期待されている.今回,再発卵巣癌に対しBEVを併用し,大量腹水の消失を認めた症例を経験したので報告する.【症例】54歳,2経妊2経産,閉経52歳.2005年4月当科にて卵巣癌根治術を施行,明細胞腺癌pT1c(2)N0M0にて術後TC療法6コース施行.2006年1月より腫瘍マーカーの再上昇を認めた.CT上,腹膜の肥厚と大量腹水を認め,腹水細胞診Class Vにて再発と診断.CPT-CDDP 5コース施行するもPD,weekly PTX 2コース施行するもPD.11月,患者の希望によりweekly PTX d1,d15に個人輸入したBEVの併用を開始し,2007年1月から外来biweekly PTX+BEVとした.2月頃より腹水が著明に減少しADLが改善.10月過敏反応によりPTXをDTXへ変更し,5〜6週毎の外来DTX+BEVを維持療法として計12コース施行した.その間CT上PR〜SDであったが,2008年11月に多量の下血を認めCTにてS状結腸間膜の播種巣が増大しRsへ直接浸潤し狭窄を認めた.腹水は認められなかった.12月ストーマ造設術を施行し,術後DTXを1コース施行し退院.本人・家族が消化管出血・腸管穿孔のリスクを了承した上でBEV継続を希望したため,次回より併用の予定としていたが2009年1月,発熱にて緊急入院.CTにて腹水はこの時点でも認めなかったが,S状結腸間膜の播種はさらに増大,直腸と穿通し感染を来していた.化学療法の継続は困難と判断,therapy offとし他院緩和ケア科へ転医,3月に永眠された.【結語】卵巣癌再発症例に対するBEVの併用化学療法は,腹水産生の抑制により予後改善効果の可能性があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
304-304, 2010
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