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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
優秀演題賞候補(婦人科2)
腹腔鏡下核出術を施行した幼若性嚢胞性腺筋症の9症例に対する病理学的検討


地主 誠, 北出 真理, 菊地 盤, 熊切 順, 松岡 正造, 竹田 省
順天堂大学産婦人科


【目的】幼若性嚢胞性腺筋症は激しい月経困難症や下腹部痛を特徴とする疾患であり,子宮腺筋症とは異なり若年期に発生することが多い.今回我々は幼若性嚢胞性腺筋症の診断基準を明らかにするために幼若性嚢胞性腺筋症に起因した慢性的な痛みと月経困難症改善目的に行った腹腔鏡下核出術の評価とその切除標本の病理組織学的特徴に対し検討を行った.【方法】当院関連病院で腹腔鏡下核出術を施行し,幼若性嚢胞性腺筋症と診断された連続する9症例に対して検討を行った.慢性的な痛みと月経困難症状の重症度評価は術前と術後6ヶ月にvisual analog scaleを用いて評価した.9症例のうち妊娠を希望する5症例に対して,術後6ヶ月にsecond-look laparoscopy(SLL)を行い,術後の評価と妊娠の有無について検討を行った.【結果】今回行った幼若性嚢胞性腺筋症の腹腔鏡下核出術は慢性的な痛みと激しい月経困難症状に対し十分な患者満足度が得られ,治療による明らかな改善も見られた.さらに術後経過観察中に幼若性嚢胞性腺筋症の再発だけでなく,激しい月経困難症状の再燃も認めなかった.SLLを施行した5症例の癒着は軽度であり,現在までに術後妊娠を希望した3症例のうち2症例が妊娠に至った.幼若性嚢胞性腺筋症の病理組織学的特徴は子宮腺筋症と類似しており,全ての症例において平滑筋組織に囲まれた嚢胞性病変を認め,その内腔には間質を伴った子宮内膜腺類似組織で覆われていた.【考察】腹腔鏡下核出術によって幼若性嚢胞性腺筋症と診断し,重度の月経困難症を十分に改善しうることが明らかとなった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 306-306, 2010


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