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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
優秀演題賞候補(産科2) メトロイリンテルを用いたバルーンタンポナーデ法により止血を得た産褥出血の5例
依藤 崇志, 田中 利隆, 岡部 瞳, 輿石 太郎, 牧野 真太郎, 杉村 基, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】産褥出血におけるバルーンタンポナーデ法を用いた止血術は,迅速かつ簡便に行うことができ,止血効果も高い方法である.海外ではTAE(transcatheter arterial embolization)と同等の止血効果があると報告されているが,本邦における報告例は少ない.今回我々は,産褥出血に対してメトロイリンテル(以下メトロ)を用いて止血を行った5症例を経験したので報告する.【方法】当院では通常の方法で止血困難な産褥出血に対して,バルーンタンポナーデ法を以下のように行っている.経腹超音波ガイド下で子宮内にメトロを挿入し,腟内に脱出してこない量の蒸留水を注入する.腟内にメトロが脱出してこないこと,子宮口からの出血が止まっていることを確認し,メトロ脱出防止にヨードホルムガーゼを留置する.バイタルサイン・性器出血の有無を経時的に確認し,メトロ挿入から約24時間後に抜去する.【結果】症例の内訳は弛緩出血3例(2例が満期分娩直後・1例が中期死産分娩直後),前置胎盤術後出血1例,胎盤遺残1例であった.弛緩出血症例におけるメトロ挿入は,満期産例で平均1320g,中期死産例で600gの出血時点で行い,完全な止血を得た.前置胎盤症例は術中の出血量は970gであったが,病室に帰室後1006g出血,その後も持続的な出血を認めたため,胎盤剥離面にメトロを挿入し完全な止血を得た.胎盤遺残例もメトロのみで完全な止血を得た.【結語】止血が困難な産褥出血において,侵襲的治療を行う前にメトロのみで全例完全な止血を得た.バルーンタンポナーデ法は緊急に際して,低侵襲で簡便なため,まずは試みるべき止血法であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
311-311, 2010
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