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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍1 再発卵巣癌脾臓転移に対し脾臓摘出術を行った4症例の検討
山本 憲子, 平敷 好一郎, 相川 瑞穂, 植原 貴史, 楯 真一, 碓井 宏和, 加藤 一喜, 三橋 暁, 生水 真紀夫
千葉大学婦人科
悪性腫瘍が脾臓に転移をきたすことは比較的まれであり,特に脾実質に転移する例は非常に少ないとされている.当科において脾臓転移を認めた卵巣癌症例4例につき臨床的に検討を行ったので文献的考察を加え報告する.【症例1】初回手術で子宮全摘・両側付属器切除・大網切除術行われ,clear cell adenocarcinoma 1c期の診断であった.術後8ヶ月脾・肝転移認め脾摘・肝部分切除術施行した.脾摘後5カ月で脳転移を認め,現在脾摘後24カ月経過し化学療法継続中である.【症例2】初回手術で子宮全摘・両側付属器切除・大網切除術施行されclear cell adenocarcinoma 1c期の診断であった.術後13ヶ月リンパ節再発認めリンパ節郭清術施行した.術後16カ月脾臓転移認め,術後39ヶ月脾臓摘出施行.現在脾摘後2カ月経過観察中である.【症例3】初回手術で子宮全摘・両側付属器切除・大網切除術施行され,serous adenocarcinoma 3c期の診断であった.術後122ヶ月脾臓転移を認め,術後124か月脾摘出術行われた.脾摘後40カ月間質性肺炎のため死去された.【症例4】初回手術は試験開腹のみで,serous adenocarcinoma 3c期の診断であった.術後TC療法行い術後10カ月左付属器切除・大網切除術行われた.術後35ヶ月脾臓転移を認め,術後39カ月脾臓摘出行った.脾摘後19カ月で多発肝転移を認め現在脾摘後26カ月化学療法継続中である.【まとめ】文献的に再発卵巣癌脾臓転移に対する脾摘が予後に寄与するとの報告がなされており,当科においても脾摘後,比較的長期にわたる無病生存期間が得られている症例を認めた.再発卵巣癌脾臓転移の治療として脾摘出術は十分に考慮し得る治療法のひとつと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
316-316, 2010
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