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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍2 当院で経験したブレンナー腫瘍の2例
橋本 玲子, 松本 浩範, 金田 由香子, 黒田 恵子, 松尾 典子, 小林 陽一, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
【緒言】卵巣ブレンナー腫瘍は表層上皮性・間質性腫瘍に分類されるまれな卵巣腫瘍であり,全卵巣腫瘍の2〜3%を占める.その90%が良性腫瘍であり境界悪性及び悪性腫瘍はおのおの2〜5%を占めるのみである.今回我々は良性と悪性のブレンナー腫瘍2例を経験したので報告する.【症例1】71歳1経妊1経産 腹痛を主訴に他院を受診し,CT検査にて多房性で内部均一な両側卵巣腫瘍を認め当院へ紹介となった.迅速病理にて良性ブレンナー腫瘍であったため,両側付属器切除を施行した.病理組織では線維性間質中に,移行上皮に類似した上皮の増殖巣が多数認められ,核には縦溝を伴いコーヒー豆状の形態像を示し良性ブレンナー腫瘍と診断した.【症例1】75歳 2経妊2経産 腹痛を主訴に他院を受診し,MRI検査にて内部構造不整な充実性と嚢胞性の混在する腫瘍と子宮頸部後壁に播種性腫瘍結節を指摘され,卵巣癌を疑い当院へ紹介となった.採血ではLDH 426IU/l CA19-9 67.7U/ml CA125 123.6U/ml SCC9.2ng/mlと上昇していたがホルモン検査は正常であった.迅速病理検査を提出し,ブレンナー腫瘍の境界悪性以上と診断されたため,手術は子宮全摘,両側付属器切除,大網切除術を施行した.その後外来にてTJ療法を施行中である.病理組織診では淡明な細胞質を有する細胞と層形成を示し,間質の線維化を伴い浸潤性に増殖をしていた.また子宮頸部後壁に3cm大の転移巣が認められた.【結語】ブレンナー腫瘍はまれな腫瘍であり,画像検査上の特徴的な所見がなく,術前診断が困難であり,治療も確立されておらず,さらに症例を集め検討してゆく必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3)
318-318, 2010
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